マシュマロテスト ウォルター・ミシェル

マシュマロテストとは自制の力を測るテスト。今目の前にあるマシュマロが一つある。すぐにでも食べられる。だが、もし食べるのを一定時間我慢できれば、二つもらえる。未来の得を理解して欲求を制御する能力が測られるらしい。そしてその能力が将来の成功に大きく関わると筆者は言っている。マシュマロを二つ手に入れられた子供は、我慢できずに一つを選んでしまった子供に比べ、以降の人生でより成功しており、より健康を保っていると。

脳の中では欲望と自制のメカニズムの相剋が起きている。古い脳である辺縁系は本能的な動きを担う。超高速の危機回避動作などには必須のシステムだが同時にここが生成する欲望も強い。これがホットシステム。対して、進化の結果獲得されたとする新しい脳、前頭前皮質がクールシステム。未来における損得の計算ができ、ホットシステムに対して抑制的に振る舞う。人を人たらしめるシステム。

この両者の動作のバランスは生得的な条件が主だったと思われてたが、後天的な要素も大きいことがわかってきた。クールシステムの動作をテクニックを用いて高めることもできることも。脳の可塑性は思った以上にあると筆者は結論づけている。

懸念点。行動経済学の調査などと同様の不安を感じる。調査追跡の手法や解釈にノイズはないのか。希望ゆえのバイアスはなかったか。

希望を示す本である。諦めることはない、そこに意思があればとむすんである。

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2021年02月08日

特別料理 スタンリイエリン

さりげないアイディアをきっちりとまとめあげて個性的な仕上がりに。凡人が同じおプロットをいじっては全く食えないものになっちゃうんだろうな。達人の技。

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9時から5時までの男 スタンリイエリン

やはり料理法が抜群にうまいんだと思う。お話のコアというか原形はよくあるもののような気がする。
新品が品切れのせいで馬鹿げた中古価格になってるのは残念。

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2021年01月28日

昼休み、またピンクサロンに走り出していた 素童

非凡極まりない文才。ユニークな素材。全く読むに値する。3行ラブレターのただ券のくだりは声を出して笑ってしまった。あとがきの二本も素晴らしい。
著者は発表時25歳。将来が楽しみで仕方ない。僕がまだ矍鑠としているうちに芥川賞を取ってください。メディアに潰されないかが心配。

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2021年01月27日

ティファニーで朝食を カポーティ/村上春樹

多彩なキャラクター、変わったストーリー。切ない語り口も上手い。美しく哀しく軽やかで、独特。春樹訳は読みやすくて良い。
あとがきに「カポーティはどこからでも物語を創り上げていく能力はなかった」と書かれている。マテリアルが尽きてしまった/再入手できなかったとのことだ。もちろんそれなりの根拠があっての論評だろうが、ここまで書かれてしまうというのは大変なことだな。偉くなんかなるもんじゃない。

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2021年01月25日

火垂るの墓 野坂昭如

独特の文体。残酷で惨めな現実が淡々と描写される。作者の体験らしい。これも私小説と言っていいのだろうか。これを読んで二度と戦争をすまいと思う人と、今度は負けないようにやろうという人に分かれるはずだ。

(しかし表紙(ジブリの映画)は何とかならんか)

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2021年01月20日

赤い竪琴 津原泰水

おそらく名作。著者にしてはわかりやすい方の。

芸術家と職人の対話。著者本人の独り言のようにも聞こえる。
文庫解説で、それしか書けないと日下三蔵氏は紹介してしているが、それしか書かないよう厳に戒めているのではと疑う。
珍しく最後まで語ってあり、しかも様々ご意見はあろうがハッピーエンド風味。
例によって、簡潔だが奥行きが深い描写の乱れ打ち。普通ならこの三倍の文字数になるのでは。読みやすいが疲れる。

ドラマ化に向いてるんじゃないかと一瞬思ったが、楽器がらみの設定をごっそり変えないと予算の点で無理だ。たまさか人形堂と同じだ。



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2021年01月13日

netflixでみたもの2020

エージェントウルトラ
空の大怪獣ラドン
モスラ
美女と液体人間
自虐の唄
涼宮ハルヒの憂鬱
リーサルウェポン
スペンサーコンフィデンシャル
スカイスクレイパー
虐殺器官
ザ・コンサルタント
イコライザー

以下は途中まで:

TAU
愛の不時着
魔王学園の劣等生
日本沈没2020
コードネームUNCLE
ドントブリーズ
セックスエデュケーション2
屍者の帝国
富豪刑事
歌舞伎町シャーロック
保健教師アン・ウニョン
ガス人間第一号
ドクターマーティン
音量を上げろタコ
AMY
ビブリア古書堂の事件簿(実写)
神たちに拾われた男
クイーンズギャンビット
ブックスマート
AKIRA
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2021年01月08日

思い出トランプ 向田邦子

悔しいくらいうまい。夫婦嫁姑家族の嫌な話しが多い。かなり苦手な部類の話で、若かったら投げ出したかもしれない。
直木賞受賞作。こののち一年足らずで帰らぬ人に。もっと色々読みたかった。

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人が自分をだます理由 シムラー、ハンソン

原題は、脳の中の象〜隠された動機。象がそこにいるのに見えないふりをする。意識という脳のモジュールをその他のモジュールが騙している、という状態のことを表しているらしい。人間の行動には意識が理解していない隠された動機がある。
フロイトにとっての性のように、なんでもかんでもこの脳の自己欺瞞に結びつけ過ぎじゃないのという気もするが、概ね正しいように感じる。僕も象が見えてなかった、と後に思い知ること多数。

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2020年12月26日

タイムスリップ森鴎外 鯨統一郎

真犯人には笑ってしまった。
鴎外についてもっと詳しかったら楽しめたのかも。

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向田邦子シナリオ集〈6〉一話完結傑作選

最近のドラマより説明が少ない。この三十年で退行してしまったか、はたまた視聴者が退行したと製作者が考えるようになったか。
放送時のキャスト名が書いてある。作者も宛て書きを得意としたらしい。往時の俳優の顔を想像して読んでみるのも楽しい。


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向田邦子ベスト・エッセイ

手練れの名品に唸るほかない。簡潔な文章。精緻な描写。徹底した謙遜。滲み出る強い意志。飛行機への恐怖を綴った「ヒコーキ」発表の数ヶ月後に航空機事故で逝去。脂の乗り切った時期だったはず。残念。

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2020年12月16日

名短編、ここにあり 北村薫、宮部みゆき編

再読。昔とは当然のように読後の感想が違った。
三島のエロさが最高。やはり脳内麻薬にまさる媚薬はない。
野坂昭如の因襲的な村の伝奇的な話も良かった。
この2人はもっと読んでみたい。


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2020年12月15日

アドルフに告ぐ 手塚治虫

最後まで読み通したのははじめて。
取り扱っている内容が内容だけに悲惨な話し。
展開が早く、情報が多い。最近のマンガのテンポに慣れてしまっているせいか結構疲れてしまった。
「昔三人のパブロがいた」っていう小説はこれの後かな前かな。

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暗殺の年輪 藤沢周平

おそらく再読。
初期の作品らしい。そのせいか暗いタッチのものが多い。ラストの余韻も長め。でももう完成されておられる。達人。
あらためて、推理小説的な展開はあえて避けておられるような気がする。

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2020年12月01日

うつ病九段 先崎学

きつい本。
うつ病本人が書いた本というのは珍しいらしい。それもこれも生還なさったからこそ。
エネルギッシュな人だけに反動は凄かっただろう。果たして将棋がなかったらこのかたはどうなっただろうか。もちろん発症もしなかった可能性もあるだろうが。
で結局、脳は元どおりになるのだろうか。
大抵の方に敬称、役職がついているのに、羽生、森内は徹底して呼び捨てなのが面白い。
お兄さんが専門医だったのは幸運中の幸運。奥様が気丈であったことも。
そして僕も精神科に入院するなら慶應病院でお願いしたい。凡人には無理か。
安田顕でドラマ化してるらしい。絵を想像して身が竦んだ。ちょっと見る勇気が無い。

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スタンフォード式最高の睡眠 西野 精治

睡眠負債の人の著書らしい。
出版社のカラーかもしれないが書き味が煽り方向に振られているようだ。まあ仕方ないか。
入眠後の最初の90分が重要というのは新鮮だった。試してみたい。
ただ、あの高い枕はちょっと買えない。

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2020年11月29日

時雨みち 藤沢周平

短編集。やはり藤沢周平は短編集が好みだ。ハッピーエンドやカタルシスを得られるような話も、身も蓋もなかったり、破滅したりするものも多いが、どれも余韻を残したまま閉じられる。
サイコパスが出てくる「亭主の仲間」が怖かった。

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